1-2.事業承継の具体的な対策②外部からの後継者受け入れ

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事業承継アドバイザー認定試験
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事業承継の具体的な対策として事業承継アドバイザー認定試験では3つの選択肢を示しています。

このページでは事業承継の具体的な対策の一つである外部からの後継者の受け入れについて解説していきます。

後継者の選定

後継者について、親族内に後継者がいない場合や、外部にふさわしい人がいる場合などは外部からの後継の受け入れを検討していきます。ここで述べる外部と内部は次のような違いがあります。

外部 共同創業者、専務等番頭格の役員、優秀な若手経営陣、工場長等の従業員
内部 取引先、金融機関からの受け入れ

外部から受け入れる後継者の選定は、世代交代の効果を考慮に入れ、自分の世代よりも一回りくらい年下の者を選ぶこと。事前に役員等として会社の経営に参画してもらうことが有効です。

承継に向けた関係者への理解

事業承継に向けて関係者に後継者を任命したことを理解してもらう必要があります。特にその会社で働く従業員のやる気にかかわる場合があるのでこの点は非常に重要です。

社内(役員、従業員)の理解

事前に後継者の発表を行うことに加えて、後継者が一定の期間社内で役員とし活動する機会を設けることにより、全社員と直接に十分な意思疎通を行うことを助けるなどの配慮が必要です。

事業承継に先立って、自社の経営理念や経営計画を明確化しつつ社内に公表・浸透させておくともに、それらを後継者に引き継いでおくといった取り組みも有効です。

上記の取り組みは、従業員から見て開かれた経営に他ならない理解を得やすい効果があります。社長交代後も大きな方針転換なく事業の継続性を保てるという利点があります。

取引先企業・金融機関の理解

事業承継の方針転換を決定したら、なるべく早く後継者を各取引先に紹介して慮回をえておく必要があり、このためには、経営計画の明確化・公表を実現しておくことも効果的

現経営者の親族の理解

経営者は後継者の選定の段階において自ら親族の意向を十分に確認しておく必要があります。(常に行っておくことが有効です。)

例えば経営者の長男が他社に勤務していて会社を継ぐ気がないと思われていたため従業員の1人を後継者として指名したところ長男が突如として会社継ぎたいと言い出したため、後継者と使命された従業員との間で経営をめぐる対立が生じるといった事例も多いです。

承継に際しての経営体制の整備

経営陣の交代

経営陣の世代交代という観点から、古参役員を退任させる必要が生じることもありますが、その処遇の仕方には十分注意します。特に優秀な古参役員については後継者のお目付役を期待する意味でも、ある程度の期間会社に残ってもらった方が良い場合もあります。

承継後の会長職からのサポート

会社経営をコントロールできる権限の一部を保有した状態で会長に就任し、後継者にまずは業務執行の部分を中心に任せて会長がサポートしつつ順次権限を委譲していくいった方法もあります。

※共同経営期間が長いと社長である後継者が飾り物でで、実質的な経営者は未だ会長であると見られる恐れがあります。例えば、共同経営期間は代表取締役会長として就任し、その後は、顧問というよいに順次肩書きを変更することにより、周囲からも権限が順次委譲されていることがわかるようにするなど工夫が必要です。

後継者教育

必要に応じて社内でのローテーションや経営幹部としての経営参画、他社業務、セミナーの参加等を実施していくことが必要です。

株式財産等の分配

資本政策

株式の譲渡

後継者の経営に配慮するならば、株式等経営難についても一定程度後継者に集中させることが必要です。

いつまでも株式の大半を元経営者が保有しつづけた場合、後継者の迅速な意思決定に不都合が生じる場合もあるし、取引先金融機関等を会社の実権者はないものとして対応することにもなりかねません。

種類株式の活用

後継者へ株式を集中させることが重要だか、経営者の親族に自社株式を資産としてある程度残しておきたい場合や、経営者に重要事項について拒否権を残しておきたいことなどの要請もある場合は種類株式を活用することが有効です。

①議決権のある普通株式を後継者に取得させ、経営権を集中しつつ議決権制限株式を経営者の親族に相殺させて財産権を残します。

②拒否権付種類株式(黄金株)を発行して重要事項についての拒否権を経営者が保持しつつ後継者に株式の大部分を譲渡します。

MBO

自社の役職員が後継者となる場合、経営者やその経験が保有している自社株式買取りの資力がない場合もあります。そういった場合はMBOも利用する手もあります。

MBOを行うための資金は、金融機関の融通だけでなく、投資会社からの出資によって補うこともあります。いずれも実力の磨き上げが重要なので十分な準備が必要です。

個人保証・担保の処理

債務圧縮に向けた努力

社長が交代したからといって経営者の連帯保証がすんなりと削除されることは少なく、これまでの経営者に加えて後継者も連帯保証人に加わることを求められるのが一般的なので、まずは、債務の圧縮を図ることが重要となります。

後継者の報酬の確保

後継者単独での保証に移行するためにも、後継者の負担に見合った一定程度の報酬を確保する措置が必要になります。

外部からの後継者受け入れは、社内外に後継者の存在を認知させることも大切ですが、株式をどう後継者に引き渡すかといった点が大きな課題になります。

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