1-1.事業承継の具体的な対策①親族内承継

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事業承継アドバイザー認定試験
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事業承継の具体的な対策として事業承継アドバイザー認定試験では3つの選択肢を示しています。

このページでは事業承継の具体的な対策の一つである親族内承継について解説していきます。

親族の承継

①後継者の選定

相続人が複数存在する場合、誰を後継者とするかを明確にするかを明確に決定しないと、親族内での紛争につながる恐れがあります。現状の把握でリストアップした後継者候補の能力、適正、会社池英に関する意欲等を十分に考慮した上で、本人ともよく話し合い、なるべく早期に後継者を決定することが望ましいです。

②承継に向けた関係者の理解

後継者を選定した後は、後継者の経営が円滑に行われるための環境整備が必要となります。社内の役員・従業員や、取引先金融機関等の理解を得るため、これらの関係者に対して事業承継計画を公表するなどして、事前説明を行うことが重要です。

実際に後継者を経営幹部等自社の世紀人あるポストに就け、権限を委譲して経営の一部を任せるとともに、その後継者を助ける将来の役員陣の構成も視野に入れて、古参役員の扱いにも十分注意しながら役員、従業員の世代交代の事前わ行うことも有効です。

後継者の教育

個人の相続とは違い、事業承継は会社を引き継ぐことになります。しかし、後継者は現時点では未熟である場合もあります。そのため、事業を引き継ぐに相応しい人材を育てていく必要があります。

社内での教育

社内での教育としては、後継者に自社の各分野(営業・財務・労務)をローテーションさせることで経験と必要な知識を習得させる方法があります。

後継者を経営幹部等の責任のある地域に就けて権限を委譲し、重要な意思決定やリーダーシップを発揮する機会を与えることも重要です。こういった機会を通じて、経営を担うことに対する後継者の自覚も醸成されていくことになる。

現経営者による指導は、経営上のノウハウ、業界事情、経営理念の引継ぎまで行われることが理想です。

社外での教育

他社勤務の経験

人脈の形成や経営手法の習得が期待されていることが多いです。自社の枠にとらわれず、後継者が新しいアイデアを獲得するためには有効な手法です。

子会社、関連会社等がある場合には、一定程度実力が備わった段階でそれらの経営を任せてみることは効果的です。(この経験は経営者としての責任感を植え付け、資質を確認する上で最適とされています。)

外部機関によるセミナー等の活用

外部のセミナーへの参加も有効です。事業承継についてのノウハウだけでなく、後継者の責任感を感じてもらうことや、後継者自身の不安を解消することにも繋がります。

株式・財産等の分配

後継者の円滑な経営のための株式その他の事業用資産の集中、後継者以外の相続人への配慮という2つの観点からの検討が必要です。

・企業経営の観点からは、迅速な意思決定を行うため、後継者及びその友好的株主に議決権の相当数(三分の二以上)を集中することが望ましいとされています。

※中小企業の自己資本充実の支援を目的とした、中小木々用投資育成株式会社に増資新株を引き受けてもらうことで、安定株主になってもらう方法もある。

・企業の存続・発展のためには、個人維持となっている株式以外の事業用資産も同様に後継者に集中して承継すべきです。

・株式、財産の後継者への集中は、民法上の他の相続人の権利による制限を受けます。民法では法定相続分が認められており、原則、被相続人の相続財産は当該相続分に従って相続されるます。また、生前贈与は遺言を用いる場合でも遺留分による制限を受けます。

・企業価値向上に貢献した後継者に貢献分に見合った財産を与えるために最も友好的な方法は、会社からの報酬(役員報酬)として与えることです。

既に株式が分散している場合の対策

これまで協力的だった株主が、事業承継で経営者が交代したものを機に非協力的になり会社の意思決定がスムーズにいかなくなるということもあります。

そのため、安定した経営という観点からは分散している株式の買い取りを検討する。(支配権を固めるという意味では後継者個人での買取りが望ましいですが、個人的に買取り資金を工面することが不可能な場合には、会社が買い取って金庫株とすることも有りだとされています。

ただし、株式を強制的に買い取る方法はなく、株式を取得したい側が価格について多くの譲歩を強いられることも良く見られています。また、どれほど譲歩しようとも相手の意思が固ければ譲歩を受けることができないため、1度分散した株式を再集中することは非常に困難です。

事前にできる株式の再集中策

株式の再集中について事前にできる準備として、譲渡制限規定等の分散防止策や議決権制限株式を活用して株式の分散を防ぐことが挙げられます。また、従業員持ち株会や中小企業投資育成株式会社等を活用しての安定株主を確保することも効果的です。

後継者以外の相続人対策

株式保有状況を把握した上で、後継者の円滑な経営のための株主等の集中と、後継者以外の相続人への配慮という2つの点を考慮して財産分配方針を検討する必要があります。特に非上場の株式の場合には、その評価方法で揉めることもあるので専門家への相談も必要です。

現経営者の存命中に上記資産を把握した上で、生前贈与や遺言の利用、会社法の各種制度等を活用して、なるべく相続人間での紛争を避けつつ、後継者に必要な株式等の集中を行っていくことが必要です。

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