1-1.事業再生の基礎!!経営不振にはどうやって気づく?

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事業再生の基礎
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事業再生が必要な場合は会社がどういった状況に陥った場合なのでしょうか。その状況を気づくことができる人とは?。この記事では会社のピンチにに誰が気づくのか?、早く気づくにはどういった整備が必要なのかについて解説していきます。

事業再生とは

事業再生とは、収益性の低迷や資産価値の毀損等を原因として、独力での事業の継続に支障をきたしまたは近い将来に支障をきたすおそれのある企業が過剰債務や営業キャッシュフローのマイナス等を解消するために、事業再構築や財務再構築を実行することにより、持続的な事業の存続および成長を 可能とするプロセスです。

収益性の低迷→資産価値の毀損→経営不振

上記の流れで企業は経営不振に陥っていきます。ですが、経営者は「赤字は自分の責任だと思いたくない」、「勝負はまだまだこれからだ!!」といった思い込みにより事業戦略の変更や事業の撤退などもっと早く決断すべきタイミングを逃す傾向があります。

事業再生は早期着手が必要です。しかし、早期に着手できるかどうかは、経営者自身の経営責任に関するモラルにかかっています。

早期着手による再生のフレームワーク

経営不振企業が会計的・財務的な面で見せる症状

①損益の悪化による赤字決算
②不良在庫や滞留在庫の発生による資産価値の毀損
③キャッシュフロー獲得能力の低下による債務の過多

中長期的な視野に立ち、収益性が回復に至るまでの間、回復の源泉となる技術開発力や営業力といった競争力を維持して継続的に改善努力できるかどうかが重要であり、事業によっては、これ以上傷が深くならないうちに縮小、撤退等の判断が必要です。つまり選択と集中が必要だということです。

とはいえ、今直ぐにとりかからなければならないので応急措置です。応急措置はできるだけ売上を維持していくこと、支払う費用をコントロールしていくことが必要です。

売上の維持・拡大の模索

応急措置 再生成の低い製品はラインナップを絞り込む。
長期的 事業サイクルにおける体制強化のための管理体制・教育を徹底する。

売上の減少要因というのは、市場ニーズの変化や技術革新、過当競争による価格破壊など外的要因が大きく、簡単には解消できないことが多いとされています。

費用のコントロール

費用のコントロールは、損益分岐点分析を行うのが最も早いです。(同業種のデータを参考に、時系列のデータをもって動態的に分析することが更に有効です。)

変動費の改善 ①青邨の構成を見直し、部品点数を減らす。部品の形状を見直して原料の使用の少ない部品を開発する。
②購買先定性的・定量的に評価しランク付けし、その重要な評価項目として価格を織り込むことで仕入単価、外注単価を引き下げる。
③標準単価を導入して原価を徹底管理することで製造原価を低減する。
固定費の改善 絶対額の削減が必要なため従業員のリストラやスタッフ機能のアウトソーシング活動を検討せざるを得ない。

キャッシュフロー経営と指標管理

早期着手のためには企業の経営者が自ら各事業の収益性を客観的かつ合理的に判別し、選択と集中を徹底する経営スタイルを貫くことが重要です。そのためには資金繰りを意識したキャッシュフロー経営と経営管理指標を用いた経営を行っていく必要があります。

キャッシュフロー経営

キャッシュフロー経営とは、企業の経営管理指標としてキャッシュフロー関連指標を用いる経営方法で以下のような特徴があります。

・従来の指標も管理対象としながら、その限界を補完するキャッシュフローベースの指標にも着目していこうとする発想。
・伝統的な指標をキャッシュフローベースの指標を通じて企業価値と連動させることがキャッシュフロー経営の目的。
・キャッシュ残高は確定しているため実質的な数字の操作ができない。

経営管理指標を用いた経営

事業投資や撤退の意思決定のための将来予測評価のために用いられる指標と過去の実績を評価するために用いられる指標を用いて経営していきます。代表的な経営管理指標として以下の指標が挙げられます。

代表的な経営管理指標

将来予測評価のための指標 過去実績評価のための指標
収益性 IRR、NPV EVA、CFROA、EBITDA、FCF、ROA、ROE、安全余裕率、営業利益率、1株当たり利益など
安全性 投資回収期間 自己資本比率、インタレストカバレッジレシオ
成長性 特になし 売上高成長率、キャッシュフロー成長率

キャッシュフローと経営管理指標の点から残すべき重点事業はあるのか、重点事業はないのかを探していくことになります。ちなみに重点事業はコア事業、撤退すべき事業はノンコア事業と呼ばれます。

早期着手のきっかけ

大企業(上場企業)の場合

特徴

①実体は悪くないのに市場の評価が低すぎる。
②過去の成功体験にとらわれている。(例、ブランド価値があるから大丈夫など)
③メインバンクが何とかしてくれるだろう。

問題点→根拠のない安易な楽観論から危機管理能力を失っているケース。

従来通り金融機関が中心となって、実績のある専門部署や外部の専門家を活用し、実態を調査させ現実を突きつける必要があります。

中堅企業の場合

特徴

①一人の経営者の力によって事業が支えられている
②株式の過半数を一族が所有している
③自己資本が充実し、外部借入が少ない場合に多い

問題点→後継者が育たないうちに自らが高齢となったり外部環境が予想以上のスピードで悪化したり組織が肥大化し末端まで目が行き届かなくなった場合等でやる気を失うケース。

経営者と接触することの多い公認会計士・税理士・コンサルタントが相談相手となっている場合が多いのでこれらの顧問先が経営者を説得していくことが必要です。

中小企業・ベンチャー企業の場合

特徴

中堅企業のケースと類似するがさらにオーナー経営者の意思が強く反映されます。企業によっては地域の経済循環サイクルに組み込まれ企業の破綻が地域の雇用問題に波及する場合がある。

問題点→株式の上場準備でもしていない限り、外部監査を受けていないことがほとんどで、税理士も単なる申告書作成のためだけに雇われているだけのケース。

地元に密着した営業活動を展開している地域金融機関が現実を突きつける必要があります。

事業再生の早期着手を実行するために必要なこと

大企業→中堅企業→中小企業と会社の規模が小さくなるほど、会社の経営不振に気づくことができる存在が少なくなっていることがお分かりいただけたかと思います。事業再生の必要性に気づき早期に着手するためには、以下の点を満たすように手当をすることが重要になります。

・企業活動に関する情報が経営者に迅速かつ正確に伝達され、それを適切に評価できる内部管理体制が構築されていることが必要。
・内部管理体制の構築や問題解決の実行に当たっては、弁護士・税理士・コンサルタントといった外部の専門家を活用すること。
・株主が経営の発言権を通じガバナンスを効かせることにより、経営上の問題点を是正すべき。
・債権者やステークホルダーも企業の変調に早く気付いて、取引条件の見通しを通じてガバナンスの効力や事業価値の毀損防止を図ること。

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